宝塚歌劇の美学を学びましょう!

音月 桂 語録 -新人公演『スサノオ』(本役:朝海ひかる)を演じて



詩劇 『スサノオ』

『Romance de Paris』『スサノオ』新人公演 スサノオ(本役:朝海ひかる)を演じて

『スサノオ』はメッセージ性の強い作品なので、今の日本の現状や、だれにでもある感情をお客様に伝えることを基本に演じたいと思いました。

スサノオの心情については、自然と湧き出たものを大切にしていましたね。実際にイナダヒメや民達と芝居をするうちに、人の温かみをかんじるようになって・・・。

森の場面で”哀れな…”という時には人々の哀しみが頭に浮かびましたし、最後に”痛みを祖国とともに分かちあいたい”というところでも胸に込み上げるものがあり、自分の中で共感できる台詞に助けられた部分もあったと思います。

ただ、今回は歌の多い作品なので、喉には気を遣っていたつもりでしたが、稽古場で第1場を通しただけで声が嗄れてしまって・・・。
これを毎日演っておられるコムさん(朝海ひかる)のすごさを感じたと共に、自分の力不足を痛感しました。

本番は発声法を少し変えるなどして乗り越えましたが、喉のことは東京でも課題としていかなければと思います。

(中略)

今回は歌や段取りに追われるあまり、神であるスサノオが人々とどう関わっていくかという所に研究の余地が残ってしまったと感じています。東京では、その辺りを更に掘り下げていきたいですね。

2004年(平成16年)歌劇6月号 雪組宝塚大劇場公演『スサノオ』新人公演インタビューより(抜粋)

四回目の新人公演主演、器用さではピカイチのKEIさんは、毎回の公演で色々な役を経験しては自分のものとし、舞台人として大きな成長を遂げています。さて、この公演の評価は?

音月は、優しく思いやりのあるスサノオでした。舞台稽古のあと、”課題はすべてクリアでいている。あとはエネルギーだけだ”と突き放したことが、思い切りの良い演技に繋がったと思います。
一度は飛び越えた崖を、何度も飛び越えられるか・・・彼女の今後はそこにかかっているのではないでしょうか?
木村信司氏/本公演・新人公演 演出

2004年(平成16年)歌劇6月号

スサノオ・音月桂の成長が著しい。神格性に重心を置く本役(朝海ひかる)に比べ、どちらかと言えば人間に近い感情豊かなスサノオであり、歌・台詞ともに言葉の意味を深く捉えて伝えてくる。
器用な・・・という表現は要らない。気どりや段どりに終わらないだけの実力を示したのだ。(抜粋) (東京・彩)

2004年(平成16年)歌劇6月号 「高声低声」

この『スサノオ』の新人公演は2004年4月20日、宝塚大劇場で公演。本公演では、アメノウズメという芸能最古の神を演じ、人間でない妖しい雰囲気を出す演技をしました。歌ではトウイングという裏声と地声の間ぐらいの声に挑戦しました。器用なKEIならではのキャスティングでした。

今回の新人公演で、KEIさんは舞台は出演者全員に支えれていることを強く感じました。相手の台詞や歌を聴き、それを自分の心で感じながら演じることが出来るようになったようです。
人間味のあるスサノオを演じたことによって、KEIさんはさらに上のステージへと上がったようですね。


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