宝塚歌劇の美学を学びましょう!

音月 桂 語録 -『猛き黄金の国』新人公演主役を演じて

「猛き黄金の国」 公演案内

雪組新人公演インタビュー『猛き黄金の国』新人公演 岩崎彌太郎 主役を演じて

今回は、舞台稽古に臨んだ時、お稽古場とあまりの感覚の違いに愕然として、そのあとに自己嫌悪に陥ってしまいました。
そのまま当日の本公演までの極度の緊張が続き、本番は舞い上がったまま終わったという感じです。
彌太郎として一本の筋が通った老い方で、二十代から五十代までを演じ分けるというのが、今回の大きな課題でした。
特に一番最初の出番が、髭をたくわえた貫禄のある彌太郎だったので、次のシーンの若い彌太郎との差をつけるのが大変でした。
貫禄を出すために、話すテンポを落としたりしたのですが、やっぱり未熟さが出てしまいました。

また、歌は大好きですが、感情を込めて歌い上げるというのはやはり難しかったです、それでも「ラブソング」は歌詞にあった振付に助けられたのですが、一人で振りもなく歌う「俺の生き様」は苦労しました。
青年の時と大人になってからと二回歌うのですが、それぞれ違った歌い方があるはずなんですね。
(中略)

課題は山積みですが、自分でも楽しんで彌太郎を演じることができました。また、初めて主役を経験させていただき、主役というものの重さを感じています。東京では特に所作事や刀の扱い、着物の着方を含めて、お芝居の力を伸ばしていきたいです。

2001年(平成13年)宝塚GRAPH5月号

果たして、この新人公演の評価はどうだったのでしょうか?

音月は、料亭に姿を現す第一声から気骨のある男っぽさと豪胆さを賢明に表現。才気に富んだ痛快な好漢を精一杯描き出した。
特に光ったのは、商いへの想いを胸に抱いた青年期での若々しさ、清々しさ。特に、夢を語るシーンでの生き生きと輝く笑顔と瞳は実に魅力的であった。
全編を通し、豪傑タイプの人物に真っ向からぶつかった思い切りのよさを評価したい。

それに加えて立ち姿に華があり、「俺の生き様」のソロをはじめとする素直な歌声には好感が湧く。死の直前での長い科白もしっかり聞かせ、表現力もあるところも感じさせてくれた。ヒゲをたくわえた壮年期での貫禄や懐の深さなどがこれからの課題点。だが、将来の楽しみなトップ候補生がまたひとり頭角を現したように思えた。

新人公演評(板東亜矢子氏):2001年(平成13年)歌劇5月号

新人公演主役という大役を体当たりで挑戦し、その重圧を見事に演技へと昇華させたKEIさんは、大きな経験とともにスターへの階段を一段上り始めたようです。

この『猛き黄金の国』の新人公演は2001年3月13日、宝塚大劇場で公演。本公演の主役は轟悠。比較されるにはキャリア、年齢、演技力に大きなハンディキャップがあります。しかし、ひたすら今の自分の持っている力を信じて、小さなからだで、力いっぱいの演技をしているKEIさんが目に浮かぶようですね。


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