宝塚歌劇の美学を学びましょう!

『ベルサイユのばら』

『ベルサイユのばら』の原作は、池田理代子の少女漫画作品『ベルサイユのばら』通称「ベルばら」。

18世紀末のフランス革命に至る歴史の激動期を背景に、王妃マリー・アントワネット、スウェーデン貴族フェルゼンら実在の人物に、近衛隊の軍人として育てられた男装の麗人オスカル、その乳母の孫でオスカルと行動を共にするアンドレらオリジナルのキャラクターを交えて、それぞれが運命に翻弄される悲劇を描いた、壮大なストーリー。

ベルサイユとはヴェルサイユ宮殿のこと。史実を基にフランス・ブルボン朝後期、ルイ15世末期からフランス革命でのアントワネット処刑までを描いたフィクション作品で1972年から1973年まで『週刊マーガレット』(集英社)にて連載された。

マンガを舞台化するのは、宝塚歌劇でも初めてのことで、ビジュアルや所作の指南役として、“天下の二枚目スター”で女形にも長けている長谷川一夫(故人)が演出に加わり、様々な工夫がなされ、1974年に月組(榛名 由梨)で初演される。

翌年花組の公演により、演劇史上空前の“ベルばらブーム”が巻きあがり、テレビアニメ、劇場版アニメなどが制作されて社会現象化した。

1974年の月組初演以来再演を繰り返し、2006年1月9日の星組(フェルゼンとマリー・アントワネット編)には通算上演回数1500回を突破、2014年6月27日の宙組(オスカル編)で通算観客動員数500万人を記録した。

宝塚歌劇の様式美に見事までにマッチングしている「ベルばら」であるが、この強いイメージのためか「宝塚歌劇団ではいつでもベルばらを上演している」「宝塚歌劇団はベルばら専門の劇団」と勘違いする人も多い。

しかし、これまでのベルばら上演は、初演の1974年から最新の2014年の40年間で本公演16回、全国ツアー・地方公演12回、計28回のみ。しかも公演期間が連続しているものをひとまとめにすると、40年間でベルばらが公演されていた機会は1974-1976年、1989-1991年、2001年、2006年、2013-2014年の5回のみという数字になる。

ゆえに宝塚歌劇団が「ベルばら」を上演している機会に観劇できるのは8年に1回となり、お気に入りのトップスターが演じる確率も低く、演ずる劇団員にとっても稀有な作品なのである。

もし、あなたが2013-2014年に見逃していたなら、しばらくは待たねばなりません。
そして、時代に符号した新しいバージョンの「ベルばら」の誕生を期待することにしましょう!

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