『エリザベート』は、1992年9月のウィーンでの初演以後、日本、ハンガリー、スウェーデン、オランダ、ドイツ、イタリア、フィンランド、スイス、ベルギー、韓国で上演されたウィーン発のミュージカル作品。
各国で上演された作品は、それぞれストーリーの解釈や曲順などは違っていたりするが、宝塚歌劇版では、トップの演じる役が死という設定では問題もあり、この役を「トート」という名前の「黄泉の帝王」に設定変更。
また、男役のトップを主役に置かなければならない伝統に則り、エリザベートではなくトートが主役になるよう脚色されている。
そのゆえに、エリザベートと黄泉の帝王とのラブストーリーに重点を置いた宝塚版と、エリザベートと死の絡み合いをハプスブルク帝国崩壊になぞられて描いたウィーンをはじめとする各国版では、同じミュージカル作品でありながら性格の異なった作品にまとめられている。
1996年に雪組の初演、一路真輝のサヨナラ公演から、2018年月組の上演で10回目となる『エリザベート』は、今や完成度の高い楽曲と構成によって「ベルばら」と並んで、宝塚歌劇を代表する作品となっている。